垣根を越えたダンス


私たちが暮らしている街、横浜では、現代アート・ダンス・音楽の3つの芸術フェスティバルが毎年順番に開催されています。そのうちの一つである横浜トリエンナーレについては昨年度に記事を書きましたが、今回はダンスのフェスティバル「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021」を取材してきました。

Dance Dance Dance @ YOKOHAMAは2012年に第一回を迎え、今年は4回目の開催となる国内最大級のダンスイベントです。横浜市役所の担当の方によると、ダンスで横浜じゅうを盛り上げよう!という想いでスタートし、主に①プロダンサーによる有料公演、②市民も参加できる無料ステージ、そして③子どもたちを対象にしたダンスのワークショップを行っているそうです。

その中でも特に注目したいプログラムが、②の7月下旬から10月中旬にかけて実施された観覧無料のオールジャンルダンスステージ「横浜ダンスパラダイス」です。横浜の街じゅうで様々な方がダンスを踊っているため、その活気に「ここは本当に日本なの?」と一瞬錯覚に陥りますが、ダンスを肌で感じるうちにその雰囲気に飲まれ、自分も不思議とワクワクしてきます。色々なジャンルのダンスを目の前で見ることは驚きと発見の連続であり、これを3ヶ月にわたって無料で見られるのは本当に素晴らしい事だなと思いました。

途中、実際にダンスパラダイスに出演した都筑育成チアチームの方々にもインタビューさせてもらいました。今日の舞台を楽しみにダンスの練習をしてきたそうです。コロナ禍でマスクをつけて練習することもあり、大変だった、お客さんが楽しさが届けられるように、きついポーズのときも笑顔で演技するように心がけている、と話してくれました。彼女たちのダンスは躍動感があり本当に楽しそうで、みている私たちも幸せになりました。

 

そんな画期的で楽しいダンスパラダイスの立役者とも言えるのが、企画アドバイザーの近藤良平さんです。近藤さんはダンサーや振付師のお仕事をされていて、前回の開催時に創作されたDance Dance Dance @ YOKOHAMAのオリジナルダンス「レッド・シューズ」の振り付けも担当しています(YouTubeや公式サイトで見られます!)。近藤さんは終始明るくて、マイペースな印象でした。大学の時に女友達に誘われて、、、という不純な動機でダンスを始めたとおっしゃっていましたが、体を使って自分を表現することの楽しさを知りダンスにのめり込んでいったそうです。

近藤さんがたびたび口にしていたのが、「ジャンルの垣根を越えて」ということ。横浜ダンスパラダイスも年齢、ジェンダー、国籍、障害の有無やプロ・アマを越えたオールジャンルのダンスステージとして開催されていますが、「垣根をこえる」ことがなぜこうも重要なのでしょうか? 近藤さんによると、これらのような縛りを意識し過ぎると、視野が狭くなってしまい何事もつまらなくなってしまうそうで、もっと自由に生きてほしいと話していました。多様なジャンルのダンスを尊重しつつ、決して踊る人を制限しない。そのような考え方によって、先ほども紹介したどんな人でも簡単に楽しめるダンス「レッド・シューズ」が生まれたのです。

取材したこの日まで、私はダンスがこれほどまで清々しいものだと知りませんでした。街とダンスが自然に融合している景色は私にとっては新鮮で、このDance Dance Dance @ YOKOHAMAは横浜の生きる遺産だと思います。取材ではダンスを見るだけだったので、今度は自分も久々に踊りたくなりました。

Dance Dance Dance @ YOKOHAMA公式ホームページ
https://dance-yokohama.jp/

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