いけ!みんなの夢をまもるため 横浜アンパンマンこどもミュージアム

©やなせたかし/フレーベル館・TMS/NTV

「アンパンマン」と聞くと、いつも幼い頃の自分を思い出します。毎週毎週アンパンマンを観ていたし、いくつものグッズやおもちゃが家にありました。実際、取材の冒頭でアンパンマンこどもミュージアムに来たことがある人を尋ねられた時には、記者全員の手が挙がりました。けれども、あれから10年ほど経った今になって、また訪れることになるとは思ってもいなかったです。

といっても、現在、横浜にあるミュージアムは昨年の7月に移転リニューアルオープンしたばかりで、旧館からだいぶデザインが変更されており、外観・内観ともに明るく清潔感がありました。僕がまだ知らないアンパンマンこどもミュージアムです。

僕らはまず2・3階のミュージアムフロアを見学させていただきました。このフロアはアンパンマンの世界に入って体験ができる場所で、パンこうじょうを中心に仲間たちの家や学校など、アニメに登場する街並みが再現されていました。アンパンマンごうには80個のボタンやレバーがついていて、それらを押すと音や光などの様々なしかけが現れます。自分で触って、考えることをこどもたちに学んでもらうための工夫なのだそう。また、パンこうじょう前のひろばでは、アニメに登場する仲間たちによるイベントが上演されていたり、歌やワークショップを行うわいわいパーク(現在はコロナ禍により中止)があったりと、こどもとおとなが一緒に楽しめるスペースがたくさんありました。

次に見学したのは1階のショップ&フード・レストランフロアです。ここはチケットを買わなくても入ることができる無料フロアなのですが、普段はアニメに出てくる大きなばいきんまんが乗り込むメカのショーや、季節ごとのイベントなどが行われている人気の場所(現在はコロナ禍により中止)です。周りではグッズを買ったり食事をとったりすることができます。話によるとリニューアルに合わせて新たなグッズやフードを増やしたそうです。僕はこれを聞いて、横浜アンパンマンこどもミュージアムの中で、非常に重要な核となる部分がこのフロアには表れていると思いました。

実はアンパンマンが初めて登場したのが絵本で、やなせたかしさんはその作者でありアンパンマンの生みの親です。アンパンマンのアニメで流れる歌も作詞しています。やなせさんは自身の戦争の体験から、「正義とはなにか」という問いに頭を悩ませます。そして戦地での空腹のつらさから、困っている人を助けること、ひもじい思いをしている人にパンの一切れを差し出すのを「正義」と呼ぶ、という結論にたどり着いたのでした。これが、アンパンマンが自分の顔をみんなに分け与える理由です。

小さいころの僕では理解できなかったアンパンマンの本当の意味を、今の僕は取材を通して肌で感じることができました。だから無料フロアなのです、だからより豊かになったのです。アンパンマンこどもミュージアムはみんなの夢をまもるため、今日もたくさんの笑顔を届けています。

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