何かに行き詰ったときや気分が上がらないとき、僕は海沿いのまちー橫濱に行きます。緑と共生する建築物、入り混じる多文化、旧と新のマリアージュ。まちの中を流れるすべての要素がぼくの心を新鮮なものにしてくれます。
この「オンリーワンの橫濱の魅力を長年かたちづくり、未来に向けて導くマークとして、ホテルニューグランドは偉大な存在である」。今回僕が得た最大の気づきです。
ニューグランドは山下公園を正面に建っていますが、この2つは歴史的に密接な関係にあります。実は、どちらも関東大震災の復興事業として生まれたものなのです。1日にして焼け野原と化した橫濱は、早くまちに潤いを取り戻すべく、最新のホテル建設を行い、その前に震災の瓦礫で大きな公園を設置したのでした。このような背景から、ホテルのシンボルは復興の象徴であるフェニックスとなりました。ホテル内では至る所にフェニックスの装飾をみつけることができました。つまり、横浜市や企業、横浜市民の支援によって港の公園とともに造られた未来への希望、それがホテルニューグランドだったのです。
<緑と共生する建築物>
当初、ホテルニューグランドは主に世界各国からの外国人客のためのホテルでした。そのこともあり、ホテル内ではヨーロピアン調の造りの中に、東洋的なアイディアが数多く見受けられます。僕が取材を通して衝撃を受けたことの1つは、玄関に入ってすぐの大きな階段です。階段の先の2階にロビーがあり、その珍しい造りからは近代復興の大きな覚悟が伝わってきました。また、床一面イタリア製のタイルが敷き詰められていたり、両脇に陶器のフルーツバスケットが飾られていたりと、西洋の様式が多く使われています。
一方で、階段上部の真正面に見える、日本美術織物の最高峰と呼ばれる綴織の作品「天女奏楽之図」や、天井から延びる東洋風の伽藍灯籠、その他細部に施されている正倉院文様の和紙などなど・・・日本というアジアの一国としてのアイデンティティもきちんと発信しています。この洋と和の融合が、次代の横濱という価値観を生み出したのです。
<入り混じる多文化>
終戦、東京オリンピック、大阪万博。日本が世界で認められるようになってしばらくすると、新たなホテルニューグランドが求められるようになります。そこで1991年、本館の隣にタワー館増築されました。タワー館5階には豪華客船ノルマンディ号がモデルのレストランが、最上階には1997年まではプール、現在は横濱の海を一望できるスカイチャペルがあります。時代の流れに適応した結果、今日のニューグランドがあるのです。
<旧と新のマリアージュ>
このように、ホテルニューグランドには僕たちが好きな横濱の魅力が詰まっています。
他にも、ホテルニューグランドは様々な料理の発祥の地として知られていることや、多くの大物ゲストが利用していることでも有名です。皆さんも絶対「あー!この料理!」、「あー!この人か!」と驚くと思うので、是非調べてみてください。
では最後に、僕の好きな横濱を代表するミュージシャンのフレーズを借りて。
(この方もニューグランドをよく訪れています)、横濱って、「イーネ!!」